社会人になって、将来のためにお金の管理について考え始めた方も多いのではないでしょうか?
今回は、資産運用の第一歩として注目されている「投資信託」について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
投資信託の基本を理解しよう
まずは投資信託の基本から押さえていきましょう。投資初心者の方でも理解しやすいよう、簡単に説明していきます。
投資信託とは?
投資信託は、多くの投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、専門家が株式や債券などに分散投資する金融商品です。
簡単に言えば、「お金を出し合って、プロに運用してもらう」仕組みです。
投資信託の仕組み
- 投資家(あなた)がお金を信託会社(証券会社)に預ける
- 信託会社がそのお金を使って様々な金融商品(株式や債券)に投資
- 投資の結果得られた利益や損失が、出資額に応じて投資家に分配される
この仕組みにより、個人では難しい分散投資や専門的な運用が可能になります。
投資信託の価格は市場の動きに応じて毎日変動します。つまり、投資信託を持っている間、その価値は常に上下しているのです。利益が確定するのは、あなたが投資信託を売却したときです。
例えば、10万円で購入した投資信託が12万円になったときに売れば2万円の利益、8万円になったときに売れば2万円の損失となります。
このため、同じ投資信託でも、いつ買っていつ売ったかによって、得られる利益(または損失)は人それぞれ大きく異なります。例えば、Aさんは10%の利益で売却できたのに、Bさんは5%の損失で売却せざるを得なかった、ということもあり得るのです。
投資信託と株式の違いを比較
投資を考える上で、「投資信託」と「株式」の違いを理解することは重要です。ここでは、両者の主な違いを比較してみましょう。
比較表
まず、投資信託と株式の主な違いを以下の表にまとめました:
項目 | 投資信託 | 株式 |
---|---|---|
運用方法 | プロが運用 | 自分で運用 |
リスク | 分散投資によりリスク低減 | 個別銘柄のリスクが高い |
最低投資金額 | 100円程度から可能 | 1,000円程度~(株価による) |
分散投資 | 自動的に分散される | 自分で複数銘柄を購入 |
手数料 | 購入時手数料、信託報酬等 | 売買手数料のみ |
売買タイミング | 制限的 | 自由 |
値動き | 比較的緩やか | 激しい場合がある |
期待リターン | 長期で数倍程度 | 10倍以上も可能 |
必要な知識 | 比較的少なくて済む | 分析力や知識が必要 |
時間の制約 | 少ない | 多い |
NISA対応 | 成長投資枠/つみたて投資枠 | 成長投資枠のみ |
株主優待 | なし | あり |
それでは、各項目について詳しく解説していきます。
運用方法
投資信託
- あなたがお金を預けると、投資の専門家(ファンドマネージャー)がそのお金を使って様々な株や債券を購入します。
- 例えば、1万円を預けると、その1万円が100社以上の会社の株に分散して投資されることもあります。
- あなたは何も操作する必要がなく、プロにお任せできます。
株式
- 自分で「どの会社の株を買うか」「いつ買うか」「いつ売るか」をすべて決める必要があります。
- 例えば、「トヨタの株を1株買おう」と思ったら、自分で証券会社に注文を出して購入します。
- 株価が上がったら売却するなど、すべての判断を自分で行います。
リスク
投資信託
- 多くの会社の株や債券に分散して投資するので、1つの会社が潰れても大きな損失にはなりにくいです。
- ただし、株式市場全体が下落すると、投資信託の価値も下がります。
株式
- 1つの会社の株だけを持っていると、その会社が業績不振になったり倒産したりすると大きな損失を被る可能性があります。
- ある会社の株を100万円分買って、その会社が倒産すると、最悪の場合0円になることもあります。
最低投資金額
投資信託
- 多くの投資信託は100円や1,000円から始められます。
株式
- 1株の価格は会社によって様々で、数百円から数万円まであります。
- 例:ソニーの株なら1株13,780円程度(2024年8月現在)、トヨタなら1株2,644円程度(2024年8月現在)から購入できます。
日本株は、通常1単元(100株)から購入できます。つまり、株価が1000円の場合、10万円から購入することが可能です。一方で、近年では単元未満株と呼ばれるサービスを提供している会社もあり、1株から購入できます。
分散投資
投資信託
- 1つの投資信託を買うだけで、自動的に多くの会社や債券に分散して投資されます。
- 例:日本株ファンドを1万円分買うと、その1万円が自動的に100社以上の日本企業に分散投資されます。
株式
- 分散投資をしたい場合、自分で複数の会社の株を買う必要があります。
- 例:トヨタ、ソニー、任天堂の株をそれぞれ買うなど、自分で組み合わせを考えます。
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- Q分散投資のメリット・デメリットを教えてください。
- A
分散投資には、リスクの軽減と安定した運用という大きなメリットがあります。複数の資産や銘柄に投資することで、一つの投資先の損失を他でカバーできる可能性が高まり、全資産を失うリスクを低減できます。また、長期的に安定したリターンが期待できるため、資産運用の安定性が増します。
一方で、分散投資にはデメリットも存在します。リスクを抑えることで短期的な高リターンを得る機会が減少し、大きな利益を逃す可能性があります。また、複数の投資先を管理する手間が増え、それに伴って手数料や管理コストが上昇する可能性もあります。
手数料
投資信託
- 購入時に手数料がかかることがあります(ただし、ノーロード型という購入時手数料のかからないものもあります)。
- 毎年、運用管理費用(信託報酬)がかかります。これは投資信託の価格から自動的に差し引かれます。
- 例:100万円の投資信託を買う際に3,000円の手数料、毎年1,000円程度の運用管理費用がかかることがあります。
株式
- 株を買うときと売るときに手数料がかかります。
- 例:10万円の株を買うときに100円程度、売るときに100円程度の手数料がかかります(証券会社によって異なります)。
運用管理費用(信託報酬)とは、投資信託を保有している間、継続的にかかる費用のことです。簡単に言えば、プロの運用者に資産運用を任せるための「お手伝い料」のようなものです。
売買タイミング
投資信託
- 購入申請は随時可能ですが、実際の取引は信託会社が行うため、リアルタイムでの売買はできません。
- 一般的に、午後3時までの注文はその日の基準価額で取引が成立します。
- 午後3時以降の注文は翌営業日扱いとなります。
株式
- 市場開設時間中は価格が常に変動しており、リアルタイムでの売買が可能です。
- 日本市場の場合、取引可能時間は以下の通りです:
- 前場:午前9時から午前11時30分
- 後場:午後0時30分から午後3時
- 投資家は市場の動きを見ながら、即座に売買の判断を下すことができます。
値動き
投資信託
- 多くの銘柄に分散投資しているため、一般的に値動きは比較的緩やかです。
- 例:1日で価格が10%以上変動することは稀です。
株式
- 個別の会社の業績や市場の動向により、値動きが激しくなる場合があります。
- 例:好決算発表で1日で株価が20%上昇したり、悪いニュースで30%下落したりすることもあります。
期待リターン
投資信託
- 長期的には市場平均程度のリターン(利益)が期待できます。
- 毎年3%~5%のリターンを得られる可能性が高いです。
株式
- 個別銘柄の選定次第で、高いリターンを得られる可能性があります。
- 成長企業の株を見つけられれば、数年で10倍以上になることもあります(ただし、リスクも高くなります)。
必要な知識
投資信託
- 基本的な金融知識があれば始められます。
- 例:「分散投資」「複利効果」といった基本的な概念を理解していれば十分です。
株式
- 企業分析や財務諸表の読み方、市場動向の分析など、より専門的な知識が求められます。
- 例:PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)といった指標を理解し、企業の決算書を読み解く能力が必要です。
時間の必要性
投資信託
- 運用はプロに任せるため、日々の管理に時間を割く必要はありません。
- 例:月に1回程度、価格をチェックする程度で十分です。
株式
- 市場動向や企業情報のチェック、売買のタイミング判断など、より多くの時間と労力が必要です。
- 例:毎日のニュースチェックや株価のモニタリングが必要になることもあります。
NISA対応
投資信託
- 新NISA(少額投資非課税制度)の「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の両方で利用可能です。
株式
- 新NISA(少額投資非課税制度)の「成長投資枠」でのみ利用可能です。
株主優待
投資信託
- 株主優待はありません。
株式
- 多くの企業が株主優待を実施しており、商品やサービスの割引、特典などが受けられます。
- 例:航空会社の株を持っていると、飛行機のチケット割引が受けられることがあります。
以上の比較から、投資信託は初心者や時間をかけずに資産運用したい人に適している一方、株式は積極的に運用し、高いリターンを狙いたい人に向いていると言えるでしょう。
自分の投資目的やリスク許容度、投資に割ける時間などを考慮して、適切な投資方法を選択することが重要です。
初心者向けの比較
投資初心者にとっては、以下の点から投資信託の方が取り組みやすいと言えます:
- 専門知識がなくても始められる
- 少額から投資可能
- 自動的に分散投資ができる
ただし、自分で銘柄を選びたい、より積極的に運用したいという方には、株式投資の方が向いているかもしれません。
20代から投資信託を始めるメリット
20代のうちから投資信託を始めることには、いくつかの大きなメリットがあります。ここでは、その主なメリットを詳しく見ていきましょう。
少額から始められる
投資信託の大きな特徴の一つは、少額から始められることです。多くの投資信託は、1000円から購入可能です。そのため、現在貯金が少ない方でも資産形成を始められます。
長期投資による複利効果
20代から投資を始めることで、複利効果の恩恵を最大限に受けられます。複利とは、利益に対してさらに利益が生まれる効果のことです。
毎月1万円を年利5%で運用した場合:
- 10年後:約155万円
- 20年後:約411万円
- 30年後:約832万円
10年では大した額じゃないと思う方もいると思いますが、このように、長期間投資することで資産が大きく成長する可能性があります。
リスク分散ができる
投資信託は、一つの商品で多くの銘柄に投資できるため、自然とリスク分散ができます。
「卵を一つのカゴに盛るな」ということわざがありますが、投資信託はまさにその教えを実践できる商品と言えるでしょう。
専門家による運用
投資の知識や経験が乏しい20代にとって、プロの運用者が資産を管理してくれることは大きな魅力です。
信託報酬などの管理費用は発生しますが、近年は管理費用がとても安い投資信託が多く販売されています。
そして、市場動向を常に分析し、適切な投資判断を行ってくれるため、自分で全てを管理する負担が軽減されます。
まとめ
この記事では、投資信託と株式投資の主な違いについて詳しく解説しました。
両者の特徴を以下のようにまとめることができます:
- 運用方法:投資信託はプロが運用し、株式は投資家自身が運用します。
- リスク:投資信託は分散投資によりリスクが低減されますが、株式は個別銘柄のリスクが高くなります。
- 最低投資金額:投資信託は比較的少額から始められますが、株式は1株単位での購入が必要です。
- 分散投資:投資信託は自動的に分散されますが、株式は投資家自身が行う必要があります。
- 手数料:投資信託は複数の手数料がかかりますが、株式は主に売買手数料のみです。
- 売買タイミング:投資信託は制限的ですが、株式は自由度が高いです。
- 値動き:投資信託は比較的緩やかですが、株式は激しい場合があります。
- 期待リターン:投資信託は安定的なリターンが期待できますが、株式はより高いリターンの可能性があります。
- 必要な知識:投資信託は基本的な知識で始められますが、株式はより専門的な知識が必要です。
- 時間の必要性:投資信託は比較的時間がかからず、株式は頻繁な市場チェックが必要です。
- 新NISA:投資信託は成長投資枠とつみたて投資枠の両方で利用可能、株式はのみ利用可能です。
- 株主優待:投資信託にはありませんが、株式では企業によって株主優待が提供されることがあります。
投資信託は、少額から始められ、プロが運用してくれるため初心者にも取り組みやすい一方、株式投資は自由度が高く、高いリターンを狙える可能性がありますが、より多くの知識と時間が必要です。
投資を始める際は、自分の投資目的、リスク許容度、投資可能な時間などを考慮し、自分に合った投資方法を選択することが重要です。また、投資にはリスクが伴うことを理解し、十分な知識を身につけてから始めることをおすすめします。
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こちらのブログでは、投資信託や株式投資を中心に、資産運用に関する情報をお届けしています。私自身が20代ということもあり、20代の方々にとって役立つ内容を提供することを心掛けています。
これからも、初心者の方から経験者の方まで、幅広く役立つ情報を継続的に発信していきますので、ぜひ定期的にご覧いただき、資産運用の参考にしていただければ幸いです。あなたの投資の一助となれるよう、これからも新しい知見や実践的なアドバイスをお届けしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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