近年、飛躍的な進化を遂げている量子コンピューターは、AIや新薬開発、金融、最適化分野など幅広い産業で革命をもたらす次世代技術として世界的に注目を集めています。2025年以降、量子コンピューター市場はさらに拡大が予想されており、関連銘柄への投資熱も高まっています。
本記事では、量子コンピューター関連株の最新市場動向や注目の有望銘柄、各社の財務データ比較、そして10倍株（テンバガー）候補まで、投資判断に役立つ情報をわかりやすく解説します。
これから成長が期待される量子コンピューター分野で、どの企業が注目されているのか、ぜひご覧ください。
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量子コンピューターとは？
量子コンピューターは、量子力学の原理を応用し、従来のコンピューター（古典コンピューター）では膨大な時間がかかる問題を圧倒的なスピードで解決できる次世代技術です。その計算能力は、AI開発や新薬開発、金融のリスク管理、最適化問題など多岐にわたり、社会の根幹を変える可能性を持っています。
市場規模と成長性
- 世界の量子技術関連市場は2025年に約3.5兆円、2050年には70兆円を超えると予測されています。
- 量子コンピュータ単体の世界市場も、2025年～2037年の間に年平均35%で成長し、2037年には約5,822億ドル（約87兆円）に達する見込みです。
- 日本国内市場も2025年度に550億円、2030年度には2,940億円へ急拡大すると見込まれています。
注目される理由
- 従来の計算機では困難な複雑問題の高速解決（例：新素材・新薬開発、金融リスク管理、物流最適化）。
- AIやIoT、ビッグデータ時代の到来による高度な計算需要の増大。
- 政府や民間による巨額の研究開発投資、政策支援。
- 量子暗号や量子センシングなど、幅広い応用分野への期待。
関連銘柄一覧
| 銘柄名 | 証券コード | 業種 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| セック | 3741 | ソフトウェア | 財務健全・増収増益 |
| フィックスターズ | 3687 | ソフトウェア | 画像処理・AIにも強み |
| NEC（日本電気） | 6701 | IT・通信 | D-Waveと協業・国内本命株 |
| クオンタム・コンピューティング | QUBT | 米国IT | ソフトウェア層に強み |
| IonQ | IONQ | 米国IT | 商用化進展・高評価 |
| インテル | INTC | 米国半導体 | 大手半導体の量子参入 |
注目銘柄詳細解説
本記事では、上記の6つの関連銘柄の中から、特に注目している3銘柄について詳しく解説します。
銘柄1: セック（証券コード: 3741）
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 業種 | ソフトウェア |
| 主な事業内容 | 組込み/リアルタイムソフト開発、量子コンピューティング研究 |
| 設立年 | 1970年 |
- 大阪大学などと連携し、量子プログラム高速化やクラウド量子サービスを推進
- リアルタイムシステムや社会インフラ、宇宙分野など高い技術力と実績
業績と財務状況
| 項目 | 2023年/通期 | 2024年/通期 |
|---|---|---|
| 売上高（億円） | 74.89 | 85.35 |
| 純利益（億円） | 8.79 | 11.05 |
| EPS | 172.49 | 216.90 |
| ROE | 11.96% | 13.82% |
セックは2024年通期において、売上高・純利益ともに前年から大きく増加し、EPSとROEも上昇しています。これは本業の成長と収益性の改善が続いていることを示しており、企業としての安定した成長と高い収益力が確認できます。
- 財務基盤が極めて強固で安定成長、配当利回りも1.9%前後
- 技術参入障壁が高く、DX・AI・宇宙開発など長期需要の恩恵が期待できる
銘柄2: クオンタム・コンピューティング（QUBT）
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 業種 | 米国IT |
| 主な事業内容 | 量子アルゴリズム・アプリケーション開発、クラウド量子基盤 |
| 設立年 | 2018年 |
- 量子アルゴリズムの商用化と“量子インフラの民主化”を推進
- IBMやIonQなど他社量子ハードと連携できる柔軟なプラットフォームを持つ
業績と財務状況
| 項目 | 2023年/通期 | 2024年/通期 |
|---|---|---|
| 売上高（万ドル） | 35.80 | 37.30 |
| 純利益（万ドル） | -2,788.30 | -6,854.20 |
| EPS | -0.42 | -0.73 |
| ROE | -41.67% | -77.89% |
QUBTは2024年通期において、売上高がわずかに増加したものの、純利益の赤字幅が大きく拡大し、EPSとROEも悪化しています。これは研究開発費や事業拡大に伴うコスト増加が主な要因であり、収益性の改善には至っていない状況です。
- 業界初期段階で赤字だが、クラウド基盤やソフトウェア層での優位性が将来性を支える
- 量子技術の普及・商用化進展とともに成長期待
銘柄3: IonQ（証券コード: IONQ）
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 業種 | 米国IT |
| 主な事業内容 | トラップドイオン型量子コンピュータ開発・提供 |
| 設立年 | 2015年 |
- 世界トップクラスの商用量子コンピュータを開発し、クラウドサービスも展開
- 独自のトラップドイオン方式で高精度・高安定性を実現
業績と財務状況
| 項目 | 2023年/通期 | 2024年/通期 |
|---|---|---|
| 売上高（万ドル） | 2,204.20 | 4,307.30 |
| 純利益（億ドル） | -1.58 | -3.32 |
| EPS | -0.78 | -1.56 |
| ROE | -29.96% | -76.34% |
IONQは2024年通期において売上高が前年比ほぼ倍増し、成長が著しい一方で、純利益の赤字幅が大きく拡大し、EPSやROEも大きく悪化しています。これは量子ネットワークや商用化拡大に向けた積極的な投資・事業拡大によるコスト増が主な要因です。
- 技術的優位性と商用化進展で注目度が高い
- 米国大手投資会社でも「買い」評価が多い
量子コンピューター関連銘柄の比較
| 銘柄名 | PER | 売上高成長率 | EPS |
|---|---|---|---|
| セック | 18.91 | +13.96% | 216.9円 |
| QUBT | マイナス | +4.19% | -0.73ドル |
| IONQ | マイナス | +95.41% | –1.56ドル |
- セックは日本企業らしく安定した業績と財務健全性が強み。量子分野では周辺ソフトやインフラ開発で堅実な成長を続けており、中長期で安定したリターンを重視する投資家向き。
- QUBTは売上高が微増する一方で赤字幅が拡大しており、研究開発や事業拡大によるコスト増が収益を圧迫している。将来的な成長余地はあるが、現時点では高いリスクを伴う。
- IONQは売上高が急拡大しているものの、純利益の赤字幅やROEの悪化が目立つ。積極的な投資と商用化拡大による成長期待がある一方で、財務面の不安定さとボラティリティの高さが特徴となっている。
安定性・堅実成長を求めるならセック、将来の爆発的成長やテンバガーを狙うならIonQやQUBTが候補となります。リスク許容度や投資スタイルに応じて選択が分かれる銘柄群です。
投資リスクと注意点
量子コンピューター関連銘柄は将来性が大きく注目される一方で、他の成長株以上に多様かつ重大なリスクが存在します。以下、主なリスクと注意点をより詳しく解説します。
1. 技術発展段階のリスク
- 商用化はまだ初期段階
量子コンピューターの多くは「実験室レベル」や研究段階にあり、実用化・大規模商用化には技術的なブレイクスルー（エラー訂正、冷却技術、安定稼働など）が不可欠です。 - 収益化の遅れ
量子優位性の達成やクラウド提供が始まっても、すぐに大きな収益につながるとは限りません。現状の売上規模は数千万ドル〜数十億円程度に留まり、黒字化には時間がかかるケースが多いです。
2. 財務・資金調達リスク
- 赤字経営・希薄化リスク
多くの米国新興企業は赤字経営が続き、継続的な資金調達が必要です。その過程で新株発行（ATMプログラム等）が行われ、既存株主の持分が希薄化するリスクがあります。 - 財務の安定性が脆弱
売上の多くが政府や研究機関向けの契約ベースであり、民間市場への本格展開はこれから。資金繰りや財務安定性には十分な注意が必要です。
3. 株価のボラティリティ・過熱リスク
- 投機的な値動き
量子コンピューター関連株は「メメ株」化しやすく、短期間で株価が数倍〜数十倍に急騰・急落するケースが目立ちます。投資家心理やニュース一つで大きく値動きするため、短期的な過熱感には警戒が必要です。 - 過度な期待と現実のギャップ
技術進展や業界ニュースで株価が先行する一方、実際の収益や商業化の進捗が伴わない場合、急落リスクも高まります。
4. 競争・淘汰リスク
- グローバルな競争激化
米国・中国・欧州・日本など各国で技術開発競争が加速しており、今後は業界再編や淘汰も進むと予想されます。競争に敗れた企業はシェア喪失や撤退のリスクも。
5. サイバーセキュリティ・社会的リスク
- 暗号技術の脆弱化
量子コンピューターの発展により、従来の公開鍵暗号（RSA、ECDSAなど）が解読されるリスクが現実味を帯びています。これにより金融・暗号資産・個人情報などのセキュリティが脅かされる可能性があります。 - システミックリスク・規制強化
金融システムや社会インフラへの影響が大きいため、規制や政策変更が投資環境に影響を及ぼす可能性もあります。
6. 市場構造・マクロリスク
- 政策・資金環境の変化
ベンチャーキャピタルや政府資金の動向、地政学リスク、規制強化など、外部環境の変化も株価や事業継続に大きな影響を与えます。
総評
量子コンピューター関連銘柄は、今後10年で社会や産業構造を大きく変える可能性を秘めた“超成長テーマ株”です。実用化・商用化はまだ初期段階ですが、AI・クラウド・自動車・サイバーセキュリティなど幅広い分野で応用が期待されており、米国・日本ともに有力企業が台頭しています。
米国勢では、IonQ（IONQ）がトラップイオン方式による安定した量子ビットの商用化で先行し、AWSやGoogle Cloudとの連携などエコシステムも強固です。2024年9月～2025年初頭にかけて株価が約6倍に急騰するなど、投資家の期待値も非常に高い状況です。
日本勢では、セックやHPCシステムズが堅実な業績と技術力で注目されています。セックはリアルタイム技術や画像処理、クラウド量子環境の研究開発で独自性があり、7期連続増収増益と安定感があります。HPCシステムズは量子化学計算クラウドやAIサーバー分野でも強みを持ち、PER12倍前後と割安感もあります。
また、QUBT（Quantum Computing Inc.）は独自の量子フォトニックチップ開発やNASAとの提携など、先進的な商用化フェーズに移行しつつあり、将来の成長余地が大きい点が特徴です。
量子コンピューター関連株は「夢」と「リスク」の両面を持ちますが、技術革新の波に乗れる企業は今後10年で大化けする可能性も十分。
10倍株（テンバガー）になる可能性が高い銘柄
量子コンピューター関連で「10倍株」になる可能性が高いと注目されているのは、米国株ではIonQ（IONQ）、D-Wave Quantum（QBTS）、Rigetti Computing（RGTI）などの新興企業です。これらは直近でも株価が急騰しており、特にD-Waveは1カ月で163.5％、Rigettiは96.7％の上昇を記録するなど、投資家の期待が非常に高まっています。
中でもIonQ（イオンキュー）は、技術の汎用性やクラウド連携の進捗、AmazonやGoogleといった大手との提携実績から、最も成長性が高いと評価されています。実際、2024年秋から2025年初頭にかけて株価が約6倍に急騰した実績もあり、今後の商用化進展次第ではテンバガーを狙える有力候補です。
一方、日本株ではNTTや富士通が「株価10倍」の可能性がある大型株としてメディアで取り上げられています。NTTは光量子コンピュータの開発、富士通は256量子ビット超電導量子コンピュータの開発で世界的にも注目されています。
また、HPCシステムズ（6597）やフィックスターズ（3687）、テラスカイ（3915）なども、時価総額の小ささや成長分野での独自性から、人気化すれば大きな株価上昇余地があるとされています。
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