関税とは？株価との関係を初心者向けに解説！

今回は「関税」と「株価」の関係について、初心者の方でもわかりやすく解説します。特にトランプ政権時代に話題となった関税政策が、どのように株式市場や経済に影響を与えたのか、具体例を交えてご紹介します。

関税とは？その基本的な仕組みと目的

関税とは何か？

関税とは、外国から輸入される商品に課される「税金」のことです。例えば、海外から輸入した車や食品に関税がかかると、その商品は国内で販売される際に価格が高くなります。

具体例：日本のお米
日本では、海外から安いお米が大量に輸入されると、国内の農家が競争に負けてしまう可能性があります。そのため、お米には高い関税を課して国内農業を守っています。このように、関税は国内産業の保護や競争力維持にも役立っています。

関税の目的

関税には主に以下の2つの目的があります。

1. 国内産業を保護するため
   安い輸入品が大量に流入すると、国内企業が競争で不利になります。そこで、輸入品の価格を引き上げることで国内産業を守ります。
2. 政府の財源を確保するため
   関税は国にとって重要な収入源です。特に発展途上国では、国家予算の大部分を占めることもあります。

トランプ政権の関税政策とは？

トランプ政権では「アメリカ第一主義」を掲げ、多くの商品に高い関税を課しました。この政策は国内産業保護や貿易赤字削減を目的としていましたが、世界経済や株式市場には大きな影響を与えました。

主な政策内容

• 鉄鋼・アルミニウムへの関税
  鉄鋼とアルミニウム製品には25%もの高い関税が課されました。これによりアメリカ国内の金属産業は保護されましたが、自動車メーカーなど輸入品を使う企業にはコスト増加という形で負担が増えました。
• 自動車と部品への関税
  外国製自動車や部品には25%の関税が導入され、日本やドイツなど主要輸出国には大きな影響がありました。
• 中国への追加関税
  中国から輸入される商品には最大54%もの高い関税が課されました。この措置は米中貿易摩擦を激化させ、中国側も報復措置としてアメリカ製品への追加関税を実施しました。
• 相互関税（2025年4月発表）
  世界中から輸入される商品すべてに10%以上の一律関税を課す「相互関税」が導入され、日本には24%という予想外の高い関税が適用されています。

関税政策の目的

トランプ政権による関税政策には以下の目的があります。

1. 国内産業保護
   高い関税によって外国製品の価格を引き上げ、国内企業や労働者を保護することを目指しています。例えば、自動車産業や金属製造業などが恩恵を受けるとされています。
2. 貿易赤字是正
   アメリカが輸入超過状態（貿易赤字）であることを問題視し、輸入品への課税でバランスを改善しようとしています。
3. 国家安全保障
   特定の商品（鉄鋼・アルミニウム、自動車など）が国内産業基盤や軍事技術に不可欠であるとして、これらへの依存度を減らすことも目的とされています。

関税が株価に与える影響

トランプ政権による高い関税政策は、株式市場にも大きな影響を及ぼしました。以下では、その仕組みについて詳しく見ていきます。

株式市場への影響

1. コスト増加による企業収益の悪化
   輸入品への高い関税は企業の仕入れコストを押し上げます。このコスト増加分を企業が吸収する場合、利益率が低下します。一方で消費者価格に転嫁すると売上減少につながり、結果的に収益悪化となります。
2. 貿易摩擦による不確実性の増加
   投資家は不透明な状況を嫌います。トランプ政権による貿易摩擦激化で市場全体が不安定になり、多くの場合株価は下落しました。
3. 報復措置によるさらなる悪化
   他国も報復措置としてアメリカ製品への追加関税を実施したため、世界的な貿易量減少や経済停滞につながりました。

最近の市場動向

2025年4月2日に発表された新たな関税（輸入品全般への10%ベースライン関税、日本製品への24%の追加関税など）は、市場に大きな衝撃を与えました。

• 日本の日経平均株価は一時4.6%下落し、8か月ぶりの安値となりました。
• アメリカではS&P500が4%以上下落し、投資家は安全資産である金や円に資金を移しました。

日本経済への影響

トランプ政権による高い関税政策は、日本経済にも深刻な影響を及ぼしています。特に自動車産業や輸出依存型産業への打撃が大きく、日本全体の経済成長にも悪影響を与えています。

自動車産業への影響

日本製自動車には25%もの高い関税が課されており、この分野への影響は甚大です。

• 自動車産業は日本経済全体で約20%の輸出額を占めており、その供給チェーンは国内外に広がっています。このため、自動車関連企業だけでなく部品メーカーや関連サービス業にも波及効果があります。

GDPへの影響

Nomura Research Instituteによる試算では、このような高い関税政策によって日本のGDPは1年以内に約0.59%縮小すると予測されています。

日経平均株価への具体的な影響

2025年4月3日、日本の日経平均株価は24%という予想外に高い関税発表を受け、一時1600ポイント以上下落しました。この結果、市場心理は「リスク回避」に傾き、安全資産である円や金への資金移動が活発化しました。

今後の展望：どうなる世界経済？

トランプ政権による高関税政策は、世界経済に大きな影響を与えています。今後の市場環境は、各国間の貿易交渉や新たな自由貿易協定（FTA）の進展次第で改善する可能性がありますが、依然として新たな貿易摩擦リスクも懸念されています。

注目すべきポイント

1. 自由貿易協定（FTA）の進展
   各国がFTAや経済連携協定（EPA）を推進し、関税を削減する動きが進んでいます。例えば、EUやASEAN諸国では域内貿易を拡大する取り組みが加速しており、これが市場安定化の鍵となる可能性があります。
2. 関税対象産業の動向
   自動車やテクノロジー産業など、関税の影響を受けやすい分野は特に注目が必要です。例えば、自動車部品に課される25%の関税は、関連企業の収益や生産計画に大きな影響を与えています。
3. 市場全体への影響
   貿易摩擦が長期化すると、世界経済全体で成長率が鈍化するリスクがあります。OECDによれば、関税引き上げが続けば世界GDPは最大5.8%減少する可能性があると試算されています。

投資家へのアドバイス

• ニュースに注目：貿易交渉や新たな協定締結のニュースは、市場の動向を左右します。特に米中や日米間の交渉結果を注視しましょう。
• 対象業界の分析：自動車や半導体など、関税の影響を受ける業界に関連する銘柄の動向を確認してください。
• リスク分散：為替リスクや株価下落に備え、安全資産（円や金）への分散投資も検討しましょう。

まとめ

今回は「関税」と「株価」のつながりについて初心者向けに解説しました。トランプ政権による高い関税政策によって市場全体が不安定になっています。しかし今後も各国間で協力体制が進むことで、市場環境も改善する可能性があります。